ボランチ
ぼらんち
ボランチは、守備的ミッドフィールダーを指すサッカー用語であり、ポルトガル語のVolanteに由来する。このポジションは、ディフェンスラインとミッドフィールドの間に位置し、守備の第一線として相手の攻撃を食い止め、同時に攻撃の起点となる極めて重要な役割を担う。ボランチの主な任務は、相手の攻撃の芽を摘むボール奪取、ディフェンスラインの前でのスペース管理、奪ったボールを前線へつなぐパス供給、そしてセットプレー時にはゴール前に上がっての得点機会の創出である。このポジションに求められる能力は、高い戦術理解度、広い視野、正確なパス技術、ボール奪取能力、運動量、そして冷静な判断力である。ボランチは大きく分けて、守備に特化したアンカータイプと、攻撃の組み立てを重視するレジスタタイプに分類される。また、1ボランチ、2ボランチといった配置の違いもあり、戦術によって役割が変化する。この用語はブラジルサッカーで生まれ、日本では1990年代以降に広く使われるようになった。クロード・マケレレ、セルヒオ・ブスケツ、カゼミーロ、エンゴロ・カンテなどは、守備的ボランチの代表例である。現代サッカーでは、ボランチの質がチームの強さを左右すると言われるほど、その重要性は増している。